Irsiegler メモ(1)

イルジーグラー/ラゾッタ『中世のアウトサイダーたち』(白水社、1992年)は、ケルンを例にした中・近世ドイツの都市社会についての重要文献だが*1、訳には重大な間違いが多く見られるので、気付いたものをメモ。とりあえず二つ。今年『中世のアウトサイダー』(白水社、2005年)として新装版が出たが、未見なので後でチェックするためにも(改訳されたとは思えないけど)。

106頁「モンゴロイドの子供の絵」
原文は "die Darstellung eines mongoloiden Kindes"。この章のタイトルは「心と頭を病む人々」なので、突然異民族の話が出てくるのは変。原文自体やや差別的とされる古い表現を使っていることに問題がないわけではないけれど、意図されているのは「蒙古症(=現在のダウン症)の子供の絵」(の筈)。
126頁「聖ヤコブ病」
原文は "St. Jobs Krankheit" なので「聖ヨブ病」の完全な誤り。

*1:IRSIGLER, Franz / LASSOTTA, Arnold, Bettler und Gaukler, Dirnen und Henker: Außenseiter in einer mittelalterlichen Stadt Köln 1300-1600, Greven, Köln 1984, dtv, München 1989.