モンゴル人と終末論

  • "Christians, Jews, Muslims - and Mongols: Fitting a Foreign People into the Western Christian Apocalyptic Scenario"

W大のO先生のところで招聘しているハーゲン大学のシュミーダー教授*1の講演。18号館コラボレーションルーム3にて。先々週から機を逸し続けて漸く御尊顔を拝することができた。
内容は、モンゴル人が西方進出した際のヨーロッパにおける東方イメージの変化や、中国布教の担い手であったフランシスコ会による東方の知識を組み入れての終末論の政治的な戦略利用について等々。とても面白く聴いた。
質問したのは二点。

  1. フランシスコ会のこのような政治戦略に対してドミニコ会は反応したり、独自の戦略をとったりしたのか。
  2. 14世紀の終末論においてペストが東方の表象と結び付けられて描かれることはあったのか。

回答の概要は以下の通り。

  1. フランシスコ会による終末論の戦略的利用は、14世紀初頭における同修道会の立場の危機に対処するものであり、ドミニコ会にはそのような行動をする必要はなかった。
  2. 当時、東方由来のものであるという事実が殆ど知られていなかったペストも、終末論においては重要な表徴のひとつである。ここで例に取った Johannes de Rupescissa の終末論にはそのような記述は見られないが、未整理・未刊行の膨大な関連テクストの存在に鑑みると、今後見出される可能性はある。

とても勉強になる。

今後のシュミーダー教授公開講演会

http://www.littera.waseda.ac.jp/littera/flash/2005/campus051020.html
いずれも早稲田大学にて。

「古きヨーロッパの現在とEUの東方拡大」
  • 日時:10月27日(木)14:40-16:10
  • 場所:36号館682教室 
  • 備考:英語講演テキストと日本語訳を配布予定。
モンゴル帝国の伸張とヨーロッパの誕生」
  • 日時:10月28日(金)18:00-20:00
  • 場所:39号館第7会議室
  • 備考:英語講演・通訳あり。