特殊フォント/テフ

id:kimucoさんに触発されて、ちょっと書いてみる。

英語以外の特殊な文字を表現するのに、特殊フォントを入れて使う場合、文章全体をそのフォントで書くのであれば問題ないが、ほかをたとえば Times New Roman で書いて、特殊文字だけをそのフォントにすると、ほかの文字とのバランスが崩れてしまうことがある。左右のスペース(字間)があくだけならまだしも、上下のスペース(行間)がそこだけ崩れると読み難くなる可能性がでてくる。

TeXの場合では、普通のフォントを組み合わせて表現する(らしい)ので、ほかの文字とのバランスも崩れないし、特殊なフォントがなくても文字装飾が可能である(もちろんギリシア語やアラビア語などはそれ用のフォントがいるのだろうが)。これが、特殊文字を扱う人文系研究者がTeXを勧める理由かと。ちなみに、現実には存在しないような記号つき文字も出力できたりする。たとえば、上図のような感じで下段のように書くと、上段のように出力される*1

あとは、もう、個人的な好みというか趣味の問題になってしまうだろう*2。覚える手間と時間をかけてでもきれいな文章を出力したいか、別に多少バランスが変でも特殊フォントで満足できるか、の。それぞれ一長一短なのだから。まあ、点付Sくらいなら、特殊フォントでもそれほど変ではないかな…。

それから、論文に使う場合の問題は、日本の人文系の学術雑誌/紀要で TeX での入稿を受け付けているかどうかということだろうか。私は、レジュメ作りで時々使っていた程度で、日本の人文系研究での利用状況については全く分からないので。

>kimucoさん
アイルランドの中世史研究では TeX 利用が盛んとのことですが、学術雑誌でも TeX で入稿してたりするんでしょうか?

*1:本当は記号をつける文字を{}でくくった方が良いらしいが、面倒なのでここではスペースで代替。

*2:もちろん、入力の際の手間の問題もある。
 点付文字を例にすると、TeXの場合、\. という命令を入れることで、続く一文字の上に点をつける。これは26のアルファベットすべてに大文字・小文字の区別なく通用する。一方、Wordで特殊フォントを使う場合、挿入>特殊文字から一文字ずつ拾うか、文字ごとにショートカットを設定して入力することになる。
 種類の違う特殊文字を多用するのであれば、TeXの方がトータルで手間はかからなくなるが、1〜2種類のみを扱うのであれば、Wordでショートカットを設定した方が楽かも知れない。