Die Wahrheit der Reformation

東征中に流し読み。著者が1999年にアウクスブルクに滞在した際の調査に基づいているらしい。前半は、既存の研究の要点をまとめて、宗教改革運動の社会史的側面をおさらいする。目新しいことは言っていない感じ。後半は、婚姻や教会施設の利用、新暦導入などの個別の事例を紹介する形で、宗教改革導入を巡る争いについて論じる。宗教的心性が社会的な秩序構造に与えた影響について構築されている理論への言及は少ない。

全体として読みやすく、依拠した研究についてもきちんと言及されているので、どんなテーマがあるのかを概観するのには良いと思う。ただし、ルター派カルヴァン派もひとまとめに宗教改革派にしてしまうのは、ちょっと問題があるのではないだろうか。

個人的には、ペストについての部分と、グレゴリウス歴導入が食肉業者をはじめとする手工業者の活動にも影響するといった、信仰と経済活動との関連についての部分が面白かった。実際、16世紀を研究対象とする人で、暦の問題に悩まされない者はいないので。