先月までの新刊
九大と慶應から。
九州大学出版会
- 萩島哲『バロック期の都市風景画を読む:ベロットが描いたドレスデン,ピルナ,ケーニヒシュタインの景観』
バロックからロココに向かう激動の18世紀ヨーロッパ。絵筆一本で各地の王侯貴族の宮廷画家として活躍した放浪の画家,ベルナルド・ベロット。バロックの街並みを写真のように描く名手。本書は,このような風景画家ベロットを日本で初めて紹介した著作であり,特にベロットが親しみを込めて描いたドレスデン,その郊外のピルナ,ケーニヒシュタインの町の絵画を景観デザインの面から読み解いた著作である。
- 市原宏一『中世前期北西スラヴ人の定住と社会』
本書はドイツ人東方植民以前のバルト海南岸における初期社会の形成を扱った研究書である。文献史料と,ドイツ,ポーランド,スカンディナヴィアの考古学研究の成果を総合的に検討し,近隣勢力との交流が侯家門あるいは祭司支配など,この北西スラヴ社会の地域的個性化に重要な影響を与えていたことを明らかにした。
慶應義塾大学出版会
- 佐藤望『ドイツ・バロック器楽論:1650-1750年頃のドイツ音楽理論における器楽のタイポロジー』
1650-1750年にドイツで書かれた音楽理論の著作や楽譜資料の徹底した資料調査から、17・18世紀ドイツ器楽をめぐる概念が、多元的概念体系であったことを明らかにした資料的価値の高い研究。