Mittelalter im Vergleich

  • 近藤成一ほか編著『中世:日本と西欧―多極と分権の時代吉川弘文館、2009年
    日本と西欧とを問わず、中世は、権力が分散し価値観が多極化した時代であった。日本・ドイツの気鋭の研究者が結集し、多角的な視点から、日本と西欧の中世世界を並列に比較・分析した意欲的な試み。国制と分権社会、環境と生産活動、多極的権力構造、心性の再現、巡礼文化、仲介者と越境者…。グローバルな視野で新たな「中世」像を紡ぎ出す。

2004年にドイツで行われた国際シンポジウムからの論集*1。縁あって翻訳協力をした。あとがきでも言及されているように、編者の方にはケルン市歴史文書館の件でもご協力を戴いた。改めて感謝したい。自分の仕事については、そのうち補足するつもり。

目次

  • デトレフ・タランチェフスキ「日本とドイツの中世を比較する」
  1. 中世をどうみるか
    • 近藤成一「中世日本の国制と分権社会」
    • ゲルハルト・シュミッツ「ドイツ法制史・国制史の諸論点」
    • 小路田泰直「近代国民国家の見た中世」
    • ペーター・モーラフ「ドイツ近代の模範としての「中世」と問題としての「中世」」
  2. 中世社会の環境と生産
    • 西谷地晴美「環境の歴史と中世」
    • 吉田敏弘「中世農業の展開と集村化現象」
    • ヴィンフリート・シェンク「中央ヨーロッパにおける土地利用と景観」
    • 高橋一樹「荘園制と都市・村落」
  3. 多極化の権力構造
    • ミカエル・アドルフソン「平安後期・鎌倉時代における権力の多極化」
    • 美川圭「上皇院政
    • マティアス・ベヒャー「9世紀から11世紀における東フランク=ドイツ帝国の分権的傾向と集権的傾向」
    • マーク・メルジオフスキ「支配と受容」)
  4. 心性の再現と巡礼文
    • 薦田治子「平家」
    • ローベルト・ホレス「彫像が響きだす」
    • 小山靖憲「巡礼と物見遊山」
    • ノルベルト・オーラー「巡礼の道」
  5. 仲介するもの、越境するもの
    • 桜井英治「貨幣からみた中世日本と東アジア」
    • グンター・ヒルシェフェルダー「中世後期の遠隔地商業と文化伝播」
    • 海津一朗「悪党・海賊・倭寇の世紀」
    • ダニエラ・ミュラー「中世ラングドックにおける異端と正統派」
  6. 研究史から考える
    • 峰岸純夫「戦後日本の中世史研究とこれからの展望」
    • ハンス・ヴェルナー・ゲッツ「21世紀はじめの中世史研究」
    • ルードルフ・クーヘンブーフ「イデオロギーの対立からコンセプトの万華鏡へ」
    • マンフレート・グローテン「ドイツ語圏における中世都市史研究」