Reinhart Koselleck

今月3日に、ラインハルト・コゼレックが亡くなったそうだ。享年82。

ブルンナー(Otto Brunner)、コンツェ(Werner Conze)と共に『歴史基本概念辞典(Geschichtliche Grundbegriffe: Historisches Lexikon zur politisch-sozialen Sprache*2』を編纂し、概念史(Begriffsgeschichte)=社会史を提唱した。詳しくは、wikipedia.de の項目 http://de.wikipedia.org/wiki/Reinhart_Koselleck を参照。
イッガースによれば、概念史とは

言語の歴史ないし理念史(Ideengeschichte)からは、はっきりと区別されなければならない(ゲオルク・G・イッガース『ヨーロッパ歴史学の新潮流晃洋書房 1986, p.153.
もので、上記の辞典の目標も、同時期にアメリカで刊行された Dictionary of the History of Ideas*3のそれとは異なっているという。
すなわち理念史とは対照的に、概念史は、概念の政治的、社会的機能ならびに階層に特有なその概念の使用のされ方を研究し、また概念の持続、変化および新しい出現を追及することを課題にしているのである。(同 p.153.

著作の邦訳には、

  1. 批判と危機:市民的世界の病因論』(村上隆夫訳、未来社 1989年)= Kritik und Krise: eine Studie zur Pathogenese der bürgerlichen Welt, 1959.
  2. プロイセンにおける国家と社会:1815年〜1848年 」(成瀬治編訳『伝統社会と近代国家岩波書店 1982年)

がある。目次からすると 1 はちゃんと読まないといけない感じ。
ちなみに、以下によれば、社会システム論のニクラス・ルーマン(Niklas Luhmann, 1927-1998)にも影響を与えているとのこと。

ブルンナーらと名前を並べている御仁が最近まで生きていたことに驚いたのだけれども、実際には、1923年生まれだから、ブルンナー(1898-1982)とはかなり年齢差があり、コンツェ(1910-1986)よりもさらに一回り下だったことになる。

追記(7日記)

著作のうち、もう一つ論文の邦訳があるようだ。7日のエントリを参照。

*1:記事の冒頭部が二重書きされてしまってる…。

*2:cf. Klett-Cotta Verlag http://www.klett-cotta.de/geschichte_buecher_a.html?&tt_products=1788

*3:こちらは http://etext.virginia.edu/DicHist/dict.html で公開されている。 邦訳『西洋思想大事典』全5巻(平凡社 1990)